Japanische Klassiker mit Furigana
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ひやめしものがたり
ひやめし物語
山本 周五郎
Lesen Sie ひやめし物語 (ひやめしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.861 Zeichen · 31 Bildschirme
「然し臨慶史を持っていると聞いたがね」
「ああ史類は二三ある」
「とにかく見せて呉れないか、そのために来て一刻も待っていたんだ」
大四郎は苦笑しながら、立って、自分の部屋へ彼を案内した。すでに暗くなりかけていたので、行燈に灯をいれると、吉之助はそれを書棚の側へ持っていって見はじめた。それから部屋の隅や床間に積んであるもの、まだ表装を直さずにつくねてあるものなど、……幾たびも嘆息をもらしながら、熱心にひとわたり見終るとこっちへ来て坐った。
「これだけ独りで集めたのかね」
「たいてい破損して、紙屑になりかかっていたものが多いからね、むろん保存がよかったら、手は届かなかったろうね」
「それにしてもよく集めた、これほどとは思わなかったよ」こう云ってから吉之助は容を改めた、「済まない、これを類別に書いて出して呉れないか」
「……どうするんだ」
「まだ内密だけれど、きょう見に来たのはお上の御命令だったんだ、書肆の難波屋が其許のことを申上げたらしい、だいぶ奇覯書があるそうだから見て来いという仰せで来たんだ」
「すると、献上ということにでもなるわけかね」
「あぶないね」吉之助は笑いながら立った、「私が見ただけでも御文庫に備えたいものがだいぶあるもの、然しそれもまた御奉公だろう」