Japanische Klassiker mit Furigana
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アパートのさつじん
アパートの殺人
平林 初之輔
Lesen Sie アパートの殺人 (アパートのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.579 Zeichen · 39 Bildschirme
私の身体は藁布団と壁との間の溝の中へはまっているので、背中が痛くてしょうがありませんでしたが、それから二人の男が帰ってゆくまでじっと辛抱していました。
村井が十一時頃に出てゆくと、みさをは、毛布の中から顔を出して、大急ぎでバットに火をつけて、せかせか莨をふかしていましたが、足音が聞こえなくなると、
「もういいわよ」
と言って布団をはねのけてくれました。
私が起き上がるとあれは、私の首っ玉へ抱きついて額や、眼や、頬ぺたや、もうそこらじゅうにキッスをするのです。
「すまなかったわね、こんな窮屈な目をさせて、ごめんなさいね」と言いながらも、雨のようにキッスをあびせました。
「あんな連中に一々あうのを断ることはできないのかね?」
私はちょっと眉の根に皺を寄せて聞いてやりました。
「断れば断るでまたうるさいんですからね。あとから来たのは、シネマ時報の記者でしょう、機嫌をそこねると出鱈目な悪口を書きなぐるんです。そうすると自然ファンの人気が落ちるし、そうなりゃ会社の方だって気まずくなるってわけで、ほんにこんなしょうばいはいやになっちゃうのよ」
「はじめの男は何だい、野球の選手とかいうのは、ただのファンにしちゃ、あんまりなれなれしすぎるじゃないか?」