Japanische Klassiker mit Furigana
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オリンポスのかじつ
オリンポスの果実
田中 英光
Lesen Sie オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.277 Zeichen · 147 Bildschirme
あなたとのことも、往きの船では、帰りの船でこそ話もしよう遊びもできようと、あれやこれや空想を描いていたのですが、さて眼前、現実にその時が来てみると、最前、船のタラップを、服も萎れ面も萎れて登ってきたあなたの可憐な姿が目のあたりにちらつきながら、手も足も出ず心も痺れ、なるままになれと思うのが、やっと精一杯のかたちでした。
出帆前の華やかな混雑も煩さいままに、独りで、ガアデン・ルウムに入って行ってみると、すでに先客がひとり、ひっそりとした青い空気のなかで、硝子越し一杯の陽光を浴びながら、熱帯樹の葉っぱを弄んでいました。
その男は百米の満野でした。かつて吉岡が擡頭するまでの名スプリンタアではありましたが今度のオリムピックには成績も悪く、いまは凋落の一途にあったようです。彼はぼくをみると磊落に笑い、退屈なまま色々な打明話をしてくれました。彼はKOの予科三年で続いて二度落第していると語り、「こんども駄目だから、まア退学は固いね」と他人言のように笑っていました。小学校のときから駆けてばかりきて歳を老り、いま学校を追われる様になってもスポオツで食う見込はたたず、「まア国に帰って、兄貴の店でも手伝うか」