Japanische Klassiker mit Furigana
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オリンポスのかじつ
オリンポスの果実
田中 英光
Lesen Sie オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.277 Zeichen · 147 Bildschirme
二十七
と止めてくれましたが、沢村さんは一度手をはなしたかとおもうと、今度はなんともいえぬ意地悪い眼付で、まじまじぼくを見詰めているうち、不意に、平手で、力一杯、ぼくの横ッ面を張った。ぼくはことさら撲られるのも感じないほど酔っている風に装い、唇を開けてフラフラして見せているのに、沢村さんは、続けて、ぼくの右頬から左頬へと、びんたを喰わせ、松山さんを顧みてはニヤニヤ笑い、「こら、大坂、これでもか。これでもか」 といくつも撲った。
二十七
そうして、横浜に着きました。
朝靄を、微風が吹いて、さざら波のたった海面、くすんだ緑色の島々、玩具のような白帆、伝馬船、久し振りにみる故国日本の姿は綺麗だった。鴎とびかう燈台のあたりを抜けて、船が岸壁に向おうとすると、すでに、満艦飾をほどこした歓迎船が、数隻出迎えに来てくれていました。
埠頭を埋めた黒山の群衆のなかから、日の丸の旗がちらちら見えるのに、負けてきた、という感慨が、今更のように口惜しく、済まないなアと込みあげて来ました。
もはやどやどやと上がりこんで来た連中で、甲板は一杯になり身動きもできません。新聞記者さんが一人、二人、ぼくのような者にまでインタアビュウに来てくれるのでした。