Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
立ちながら、帽子を片手で。
「どうも手違いばかりいたしまして、今日はすっかり失敗です。こちらは如何でしょうか。」
「面白いですよ。なかなか。」
「あっはっ、素敵素敵。」
「虐待極れりです。」
「いや、いいでしょう。まあ。」
立ち疎んだK君、
「いや、あちらでは団長が怒り出しましてね。」
「やっぱり鮨詰めですか。」
「ええ、何分昨日行啓の今晩ですから、居残りでかなり混雑していますし、宿でも町の方でもすっかり疲れ切っているので、どうにも行き届きませんでね。団長などは外出中に無断で室を取り代えられましたのでね。御機嫌頗る斜めです。我々観光団の面目に関するというので、困りました。」
「鉄道省の方ではあらかじめ何か打ち合せしてあったんでしょう。」
「ええ、手筈はよくついていた訳なんですが。」
「まあ、いいでしょう。」
「と、こちらの方がまだ優待ですぜ。」
「じゃあ。どうぞあしからず。」と頭を下げて、K君は出て行った。
麦酒の方がまだましだろうとなって、それから、
「玉子焼きにでもするか。」
「玉子焼きとは窮したね。」
出来るかと、女中に訊くと、出来ますという。そこで誂えて、チビリチビリ麦酒を嘗めていると、何時の間にか隣りではひっそりとなった。