Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
小樽
」
私はまたあたりを眺めまわした。
津軽の連山は幽かであった。だが、北海の丘陵は右舷に近く迫っていた。何という雑草の青の新鮮さ。海はまたかぎりなく明るかった。やや紅と金とを交えた牛酪いろの一面のはるばるしい漣であった。いよいよ夕凪だなと、私は私の船室の方へ、穏かに、また安らかに歩みを返した。
小樽
旅にまで来て、十五、六年前の幽霊をかついでまわるのは何という愚かなことだと、私はつくづく朱筆を投げてしまった。小樽の色内町のキト旅館の二階での歎息である。私は処女歌集の、「桐の花」の改訂をやっているので、その校正刷をここまで提鞄にしこたま詰め込んで来たものである。しかも私の校正なるものは普通の校正ではない。ともすると改作になる。改作というより全然の新作が加わる。
乳緑のびろうどの河豚責めふくらし昨日も男涙ながしき
こうした歌を校正しているうちに
さみどりのちひさ河豚の子上げ潮のしほさゐ安く群るるこの頃
という風の歌が出来る。そうした時には、私はきっと二十七歳の夏の私に還っている。ちょうど第二詩集の「思ひ出」を上梓した頃だ。私は筋肉炎という未だかつて聞きもしなかった病気にとりつかれて蠣殻町は岩佐病院の一室にほとんど五十日余も入院していた。