Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
何で周囲に当り散らすのかわからぬ立腹が、たちまち私の眼先を真っ暗にしてしまう。それがまた、地球外の不快な何かの囂々音らしい無電の妨害までが挟まっては、まるで悪魔の洞窟にでも堕ちたような気がする。見放されてこそ仕合せだと思うのだ。だが、日本内地からいよいよ私は離れつつあるのだ。それを思うとまた、頼りない郷愁も湧く。
「や、活動が初まったな。」
総立ちに出て見ると、もう、左舷の甲板は観客でいっぱいになっている。自分の船室への通路も全く塞がれてしまった。それよりか、丸窓もはいり口も燈が消されて、ほの青い光の中に、密集した低い高い黒い頭の壁際になってしまっていた。
で、私もその前に跼んでしまう。
チカチカチカチカ、コチコチコチコチ、パッとまた幕面が白く明って見出しの円が出る。思いがけない樺太風景である。
「や、鰊漁だ。すばらしいすばらしい。」
現れたる青い画面には溌剌とした鰊の数千数万本が飜る。小蒸汽とモオタア船の甲板である。日光、漁夫、モリ、舷側の飛沫。
影、影、影、光、光、光。
鰊だ、眼だ、腹だ、尻尾だ、雪崩だ、総雪崩だ。や。
密集、重積、氾濫、迷眩、混乱。