Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
それに午近くになってぽつりぽつりと雨さえばらつき出すと、風までが、これに加わって、どうにも怪しい雲行きと変って来た。
「今夜はともするとひどい時化になりますよ。」
すれちがいに私に挨拶した事務長の言葉がこれであった。
「明日はうまく上陸できましょうかね。」
「さあ、どうも、ちとむつかしそうですな。ここの海岸線はかなり荒いようですからね。」
そうして帽を一寸脱いで、向うへスッスと行ってしまった。
これまで、私たちはあまりに恵まれた航海を楽み過ぎて来た。少しくらいは時化にでも遭った方が面白そうな気もしたが、夜に入っていよいよ本ぶりになると、誰もが言い合わせたように晩飯もそこそこに済ますと、早くからてんでの船室に引っ込んでしまった。その中で一人、お能の笛を吹いている音色がしていたが、それもすぐに止んでしまった。
終夜が波の響と風の音と、それに雑多の――それは帆檣に降る、船室の屋根の上甲板に降る、吊ボートに降る、下の甲板に降る、通風筒に吹きつける、欄干に降る、――雨の音であった。船の揺れはますます激しく、私のいわゆる王様のベッドの洋銀の欄干、網棚、カーテンの鐶などは、しっきりなく音を立てて鳴った。