Japanische Klassiker mit Furigana
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うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme
ざぶざぶと、白波を蹴って、川のなかへ、越後兵が大勢駈けて行った。典厩の首を挙げんためであった。
典厩のからだは、浮きつ沈みつ、流れてゆく。宇佐美駿河守の家臣梅津宗三というものがついに、死骸を抱きとめた。そして忽ち、川を真っ赤にした。首のみを掻き切って、小脇にかかえこみ、再びざぶざぶと川から上がって来たのである。
――が、一歩、水から岸へあがるせつなに、典厩の家の子樋口三郎兵衛、横田主水などが、
「やわか、御首を」
と、斬りつけた。
梅津宗三は、ひとりを横薙ぎに太刀で払い、また一人をあざやかに仆して、味方の方へ、何か大声でわめきながら駈けていった。おそらくは、
「信玄公の御舎弟、左馬介典厩信繁どののおん首、宇佐美駿河守の家来梅津宗三が打ったりっ」
と呶鳴ったのであろうが、喘ぎと、昂奮と、異様な音響の中なので、何を叫んでいるのかよく聞きとれなかった。
それを、上杉方の中までも、深く尾けて行って、うしろから不意に、梅津宗三をけさがけに斬って伏せた一兵がある。すぐ彼の手から主人典厩の首を引っ奪くるやいな、顔中を涙にぬらして、武田方の陣地へと駈けこんで行った。