Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

孤影

或いは傷ついているのにひきかえて、上杉方で部将の戦死は一名もなかったのは争えない事実だった。上杉方の死傷は、敵の妻女山転向部隊が、新手として加わった一瞬からのもので、その死傷の殆どが、下士級に多かったのは、潰走乱軍のなかに、武田方の好餌となって捕捉されたり、もうひとつの原因は、丹波島の下流にあたる犀川の深い流域へ、向う見ずに駆けこんで、溺れ流されたり、矢に射られたりしたためであった。

孤影

月一痕。主従二人。

耳に聞えるものは虫の音ばかりだった。このあたりは、家も灯影も見あたらないが、きょう一日の大戦も知らぬかのように、ただ露しげく草深い。

「家はないかの」

「歩むうちに見つかりましょう」

「左馬介。寒かろう」

「わたくしは、お馬の口輪を取って歩いております故、自然、寒さを忘れております。……が、殿こそ、馬上、しとどにお濡れ遊ばして、お体が冷とうございましょう」

「火が欲しい。……秋とも思えぬ冷えをおぼゆる」

三牧の畠で、河を渉って来た主従は、歩む道に、雫の痕を残しながら、里の灯をさがしていた。

謙信はふと駒を止めて、

「味方の者ではないか。誰やら後の方から呼ばわって来るようだが」