Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうひんよっつ
中勘助随筆集
中 勘助
Lesen Sie 中勘助随筆集 (しょうひんよっつ) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.694 Zeichen · 32 Bildschirme
小箱
ここにあるいくすじの細いリボンの、白と、黄と、淡紅と、ところどころに青いしみのあるのはそのおりおりにきって束ねてもらった草の汁である。さりながら私はこのうちのどれがその夜のものであったかをおぼえていない。
小箱
ここに今はいない妹の手細工のガラスの小箱がある。六枚のすり硝子の合せめをクリーム色のリボンでぴしりとしめあわせたもので、襞飾りがしてある。あんなに美しい指をもちながら兄弟じゅうでの無器用で、常づね私にからかわれて泣き顔をした妹もこればかりは笑われまいと一所懸命こしらえたものか、たいそう手際よくできている。いつものとおりけなしけなしほめてやったらそれでも嬉しそうにちょっと首をかしげたことを思いだす。なかにいれておいたいろいろな貝はいつかいりまじってどれが誰のとも見わけられないのはとりかえしのつかぬ寂しい気がするけれど、いずれも私にやさしく親しい指の拾いあつめたものとおもえばなかなか思いなぐさむところもある。
ここなる二ひらの帆立貝のひとつは藤紫に白をぼかし、放射状にたてた幾十の帆柱は無数の綺麗な鱗茸をつらねて、今しも迸りいでた曙の光がいろいろの雲の層に遮られたようにみえる。