Japanische Klassiker mit Furigana
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かかこうしゅ
中国の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 中国の怪談(二) (かかこうしゅ) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.926 Zeichen · 225 Bildschirme
主人の廷章はまた次の室へ往ったが、其処で何を為はじめたのかことことという音がしだした。その物音に交って人声も細ぼそと聞えてきたが、窓の外の雨脚に注意を向けている南の耳には入らなかった。その南の雨に注意を向けている眼に酒と肴を運んできた廷章の姿がふいと映った。自分を尊敬していることは知っていても酒まで出すとは思わなかった南は眼をった。南の眼はそれから廷章の入ってきた次の室の入口の方へ往った。入口には料理を手伝っていたらしい少女が縦半身を見せていた。それは粗末な服装はしているが、十五六の顔の輪廓の整った美しい女であった。南はその顔を見のがさなかった。
「お口にあいますまいが、お一つ」
廷章に杯をさされて南はどぎまぎした。城市の世家の来訪を家の面目として歓待している愚直な農民には、南のそうしたたわけた態度などは眼に入らなかった。
「これは、どうも」
肴には鶏の雛を煮てあった。
「どうか、お肴を」
南は気が注いて箸を持ったが、肴の味もその肴が何であるかということも解らなかった。
「これは結構だ」
南は廷章の隙を見てまた次の室の入口の方を見た。其処には此方を窃み見するようにしている少女の眼があった。