Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
滋子は肩をひいて、
「よしてちょうだい、へんなことをいうのは。ちっとも伊作に似てなんかいないじゃありませんか。眼だって鼻だって。あなたどうかしているわ」
「父と娘は後姿が似るというけどほんとうね。いま立って行った後姿……肩のぐあい、首、頭のさきまで伊作にそのままよ。白状するけど、エッフェル塔の下で、あっ、若旦那って頓狂な声をだしたでしょう。あなたは気がつかなかったようだけど、伊作と女のひとが乗った自動車がすぐ前を通って行ったのよ。それでその女のひとってのは、マルセーユでいろいろ親切にしてくだすったあの奥さまなのよ」
「たいへんなめぐりあいね」
やすはうなずいて、
「たいへんというならまだたいへんなことがあるのよ。杜松子さん、その奥さんに瓜二つなの」
幹邦子が夫の利吉雄を捨てて欧羅巴へ駆落ちをしたというたいへんな評判で、新聞社の巴里と倫敦の支局は、本社からの命令で辛辣に邦子の足どりを追及した。男と二人で欧羅巴にいることはたしかだが、所在をつかむことも相手をつきとめることも、とうとうどちらも成功しなかった。その後だいぶたってから、白耳義のスパや瑞西のヴェーヴェなどで邦子を見かけたというひとが二、三人あった。