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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼしぞう

久生十蘭短篇選

久生 十蘭

Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

船の中でもいろいろもう」

やすはニコニコ笑いながら二人の話を聞いていたが、だしぬけに、

「あなたさま、いぜんから伊作をごぞんじでいらっしゃいましたか」

とたずねた。杜松子は瞼をふっくらさせて、

「いえ、そのときはじめて」

「そうでしたか、それはそれは。ほんとうにふしぎなご縁で」

滋子は笑って、

「ふしぎなご縁とはまた旧式なことね」

「でも、知らない同志がキャンプで知り合うなんてのはそれがよくせきな縁よ。戦争がなかったら、死ぬまで逢わずにしまったかもしれないんだから」

女中が電話をいいにきた。

「ええ、幹はあたくし」

杜松子が出て行くと、やすは滋子のそばへいざりよってきて、

「滋さん、あなた気がついて」

濡れた大きな鹿の眼で滋子の顔を見つめながら、

「杜松子さんって、あたしの孫なのよ」

とささやくようにいった。滋子は呆れてやすの顔を見かえしながら、

「いったいなにをいいだすつもりなの」

やすは急に幅のあるようすになって、

「伊作の娘ならあたしにとっては孫でしょう、そうじゃなくって」

滋子は押しまくられてたじたじになりながら、

「伊作がいったことなの、それは」

「いいえ。でもあたしにはちゃんとわかるの」