Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
海には、ノルーウェーの海岸にメールストレームの渦がある。メッシナ海峡にはカリブジスがあるね。しかしそういう、退潮と逆潮とでできる海流の渦のような気流は、残念なことにあの上空にはない。きっと僕は、主峰があるといわれるあの雲の下が、もの凄い大空洞ではないかと思うんだ。サア、陥没地、大梯状盆地というかね。それも、上空に渦をおこさせるほど、ものすごく深いもんだ」
「じゃそれを、木戸君が確めたのかね」
「いや、ただ最後の無電でそう推察できるんだ。機はいま、旋流にまきこまれ、主峰の雲へ近付いていく――それがまず最初のものだった。続いて、もう我らには旋流をのがれる手段はない。神よ、隊員諸君とともにあれ――とあった。と間もなく、たしか五、六分経ってからだろう、とつぜん『大渦巻』というあの一言がはいった。僕らは、もう絶望し胸せまって十字を切った。するとだよ」
「ふむ」
「それからは、誰も感慨ぶかげな顔でものも言わない。そこへ、もうないと断念めていたころ、ふいに最後の通信がきた。見た――という、たった一言だが、見たというんだ。そして木戸は、その謎語をのこしたまま無電のオーハラとともに、おそろしい魔境の神に召されたのだ」