Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

別に、この世に引き出したところで、見世物にもなりません。お捨て置きになれば、有難く思いますわ」

「しかし、あなたはフランス語をお喋りになりますね。そこは大体、地上と交通のない地底の国のはず。その点がどうも解せませんよ」

とうとう、ザチはそれには答えなかった。悲しそうな目をして、じっと折竹をみている。駄目っ、駄目っと……念を押すようなそれでもないような、なにか胸に迫った真実のものを現わして、

「でも、お目にかかれて嬉しいと思いますわ。人間って――十年、二十年、交際っていても何でもない方もありますし……たった一目でも、生涯忘れられない方もありますわ。お別れいたします」

と立ちあがったが、またふり向いて、

「こんな齢になって泣くなんて、可笑しいですわね。でも、こういう時は、誰でもそうよ。誰でも、感傷が先走って、悲しくなるものですわ。もう、あなたとはお目に掛れないでしょうから」

「そうでしょう。僕も大塩沙漠へゆきますから……」

ザチは、それなり去ってしまったのである。妙な女だ、脅してみたり泣いてみたり――と思うだけで、いま大塩沙漠ゆきをうっかり洩らしたことには、彼はてんで無関心であったのだ。