Japanische Klassiker mit Furigana
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まんじ
卍
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 卍 (まんじ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.618 Zeichen · 258 Bildschirme
えらい待ちぼけ喰うたもんや。」「ついうっかりしてて済まなんだけど、急に話がまとまってしもてん。」「そんで、光子さんまだいやはんのか。」「いやはるけど、もう直き帰りはるやろ。」「まあもうちょっと留めといたげエな、僕こいから直ぐ帰るわ。」「そしたら大急ぎで頼むわ。」――わたしは口ではそういいましたけど、心のうちでは夫が戻って来ますのん何や面白う思いませなんだ。さっきの寝室の事あってから、わたしの胸には幸福の感じが満ち満ちてまして、今日は何という楽しい日イやろと、足が地に着かんように浮き浮きして、些細なことにも直ぐに心臓どきッと早鐘打つようになってましたのんに、夫に帰って来られてはその折角の幸福へヒビが入るように感じたのんです。わたしはただもう光子さんと二人きりで、いつまでも話してたかったのんです。いえ、話なんかせえでも構めしません、黙って光子さんの顔さい見てられたら、――自分がその人のそばにいるいうことだけで、限りない幸福が胸一杯になるのんです。「なあ光子さん、今電話がかかってなあ、うちの人帰って来るそうやねんけど、あんたどないする?」「えー、どうしょう――」