Japanische Klassiker mit Furigana
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まんじ
卍
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 卍 (まんじ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.618 Zeichen · 258 Bildschirme
」「ふん、よッしャ、よッしャ、――」「きっとやなあ?」「ふん、ふん、分ってる、分ってる」いうて、そんなたわいないこと電話口で二、三十分もしゃべってます。手紙なども内証で遣り取りしてたのんだんだんおおびらになって、光子さんから来ましたのん読みさしのまま机の上などい放り出しときます。――尤も夫は人の手紙を偸み読みするような人間と違いますよって、それは安心してましたけど、そいでも前には読んでしもたら急いで箪笥の抽出しい入れて鍵かけといたんですのんに。
そないにして、夫の方もいずれまた一と波瀾持ち上ること分ってましたが、さしあたり前より都合ようなったくらいですよって、私はますますのぼせてしもて、情熱の奴隷となってしもたのんですが、その最中に、私に取ってまるきり寝耳に水の事が、――もうもうほんまに、夢にも思いがけなんだ事起ったのんです。それいうのんがちょうど六月の三日のことでした。おひる頃に光子さんが来なさって、夕方五時ぐらいまで遊んで帰りなさったあと、夫と二人で晩御飯たべてしもたのん八時で、それから一時間ほどたって、九時ちょっと過ぎた時分に、女子衆が、「大阪から奥様に電話かかってます」