Japanische Klassiker mit Furigana
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のろいのダイヤモンド
呪の金剛石
野村 胡堂
Lesen Sie 呪の金剛石 (のろいのダイヤモンド) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.393 Zeichen · 28 Bildschirme
あの不思議な宝石、前日新聞社の応接で、私に見せた品のことを聞いて見ましたが、それは女中も妹も初耳のようで、何んにも知っては居ませんでした。だらしが無いようでも、秘密主義の生活には馴れた女でしたから、もし非常に貴重な品であってはという懸念から、あの八円五十銭の宝石の事を、私以外には、誰にも話さなかったようです。
一応その顛末を、臨検の警官に注意して置きましたが、痴情関係に相違ないと思いこんで居る様子で、私の申すことなどには、大した注意を払ってくれません。
念の為に、襲撃された当時、春日野ゆかりの身につけて居たものを全部見せてもらいましたが、思った通りその中には、あの不思議な青い石はありません、帯の間にも、紙入にも、ガマ口にも、懐中鏡にも、オペラバッグにも……。
一つ一つ探して行く内に、着物も帯も細紐も、一切の装身具も揃って居るのに、たった一つ、帯揚の無いのに気が付きました。
「お栄さん、帯揚はどうしたんだ」
と聞くと、
「サア、そこに御座いませんですか、そんな筈は無いんですが」
こんな場合ですから、あまり気に止める様子はありません。
面倒臭がるお栄と妹を促し、いろいろ手を尽してその辺を探して見ましたが、たしかに遭難前に締めて居たという、錦紗縮緬の帯揚だけが、どうしても見えません。