Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじょう

地上

島田 清次郎

Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme

Aozora Bunko

寒さに身を顫わせていた。和歌子は自分の家のことを想い出して少し心配になり出した。

「もう何時かしら」

「何時だっていい。僕は夜通しでもここにいたっていい。僕だっていつまでも中学のがらくたじゃないさ」

すると和歌子が堪らないようにくす/\と笑い出した。ひどく寒かったが平一郎は我慢していた。

「何がおかしい?」

「がらくたっていうのがおかしいじゃないの」

「そうさ、がらくただあね」平一郎も哄笑した。

「東京の有様は随分盛大でしょうね」と和歌子が尋ねるように言った。

「そうだろうさ。何いったって本場だもの……」と言いかけているうちに冬子のことが湧いて来た。「……僕の知っている人がこの間東京へ行ったから、きっと今日は柩も見ているに違いないや」

「知っている人ってどなた?」

「それはね、僕の母さんの友達の冬子という女の人だよ」

「そう」和歌子は黙ってしまった。暫くたって「もう帰りましょうよ」と言い出した。

「どうして?」

「わたし、何んだかつまらなくなったの」そしてつけ加えた。

「家へいけないの、遅くなって」

「じゃ帰ろう」

二人はとぼ/\暗い野路を街の方へ帰って来た。明るみに出たとき、二人は何もかも忘れて笑い合った。