Japanische Klassiker mit Furigana
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かべのめのかい
壁の眼の怪
江見 水蔭
Lesen Sie 壁の眼の怪 (かべのめのかい) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.253 Zeichen · 15 Bildschirme
それを今も猶まことにして守るのは愚かしい。どうじゃな、古くからの村の定法、今は何んの役にも立たぬ事を、そなた、打破って見たらどうじゃな。広い浮世が誰にも見られるように、村の娘達の後のためを考えて、そなたが先ず魁を見せたらばな」
山間僻地に多年潜む排外思想の結果、若き女の血に燃えるのを、脅威を以て抑圧していた、その不合理を打砕かせようと、直芳は熱誠を以て説き入った。
「広い浮世?」と娘はつぶやくのであった。
「おう、そこには大江戸もある。八百八町の繁昌は、人の口ではとても語り切れぬ。何とそこへは行かれぬか。大江戸にてはこの土地のように、他郷の者に河中の髪洗いを見られたとて、不吉な事のあるなんど、その様ないい伝えは御座らぬ。その土地へそなたが行けば、立派に縁談が纏まるのじゃ。さてその良人には、拙者が進んで成り申そう」
「えッ、お前さまが、わたしを……」
「まことに打明ければ、拙者はかの髪洗いを一目見て、命も入らぬとまで、そなたに思いを懸けた。されば、拙者ゆるされたら、この土地の者と成ってもよい。が、それよりも、そなたが、拙者と一緒に、この土地をひそかに逃げ出しては下さらぬか」