Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
もし天龍川の出水なぞで川西の村々にさしつかえの生じた時は、総助郷で出動するという堅い取りきめであった。徳川政府がこの伝馬制度を重くみた証拠には、直接にそれを道中奉行所の管理の下に置いたのでもわかる。奉行は各助郷に証人を兼ねるものを出勤させ、また、人馬の公用を保証するためには権威のある印鑑を造って、それを道中宿々にも助郷加宿にも送り、紛らわしいものもあらば押え置いて早速注進せよというほどに苦心した。いかんせん、百姓としては、御通行の多い季節がちょうど農業のいそがしいころにあたる。彼らは従順で、よく忍耐した。中にはそれでも困窮のあまり、山抜け、谷崩れ、出水なぞの口実にかこつけて、助郷不参の手段を執るような村々をさえ生じて来た。
そこへ和宮様の御通行があるという。本来なら、これは東海道経由であるべきところだが、それが模様替えになって、木曾街道の方を選ぶことになった。東海道筋はすこぶる物騒で、志士浪人が途に御東下を阻止するというような計画があると伝えられるからで。この際、奉行としては道中宿々と助郷加宿とに厳達し、どんな無理をしても人馬を調達させ、供奉の面々が西から続々殺到する日に備えねばならない。