Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
ませ」
案内をしてくれたその女は、また見覚えのある女であります。振返って見ると、そこに置き据えられた駕籠は、もうありません。
案内された座敷は、昨夜と違って明るい座敷でありました。朱塗りの雪洞が、いくつも点いて、勾欄つきの縁側まで見えているが、その広い座敷に誰一人もおりません。家内の者はまだ起きていると言ったにかかわらず、入って見れば、ひっそりとして人の気配は更にありません。
ここへ案内をしてくれた女の人は、燈籠の下へ、ぴたりと坐ると、あちらを向いて頻りに物を書きはじめました。昨夕の女は、旅の客の疲れも知らず面に仕事をしていたが、今宵はまたお客をさしおいて、あちら向きで物を書いているのは、よほどさし迫った用向に違いない。いかに差迫った手紙とは言いながら、お客をそっちのけにして、あんまり無作法だと思いましたから、
「何を書くのか知らないが、手紙は後廻しにしておいたらどうだ」
苦々しく言い放ったけれども、あちらを向いていた女は向き直ろうともしません。女の書いている巻紙だけが、するすると竜之助の見ている方へ流れて来るのです。雨漏りの水が板の間を伝って流れて来るように、紙が眼の前を流れて行くから、いったい、何をそれほど熱心に書いているのだろうと、のぞいて見ると、