Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
山崎が、今にもふかしたての薯を食ってしまいそうなことを言うと、南条は皮肉な面をして、
「しかし、七十万石の薩摩薯だから、ふかしても、焼いても、かなり食いでがあるなあ。第一、ずいぶんあっちこっちへ蔓が張っているだろうから、掘り返すだけでもなかなか骨の折れる仕事じゃ」
「我々の仕業は、ただ蔓を手繰ってみりゃいいのだ、手繰ってみると、思いがけないところへその蔓が張っているから妙だ、本所の相生町あたりまで、その薯蔓が伸びているからなあ」
山崎は胡坐をかき直して、煙草盆をつるし上げ、鼻の先まで持って来ました。
そこで話が少し途切れているところへ、廊下を渡って来る人の足音がありました。南条の居間の前で、その足音が止まると、
「南条殿、おいででござりますか」
障子を颯と押開いたものです。
「あ……」
それで南条も、ややあわてました。障子を押開いた人も面食って、入りもやらず、さりとて立去りもならず、
「お客来でしたか、失礼」
その人はぜひなく障子を締め直して立去ろうとしたが、そのお客と面を見合せないわけにはゆきません。
「おお……」
その声と共に障子をたてきって、さながら、見るべからざるものを見たように、あわただしくその場を辞して行きました。