Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

八

穏かでないのはこの屋敷に限ったことはありません。この頃、一体の世間がそうであります。いつも暢気であるべきはずの長者町の道庵先生の屋敷までが、この穏かならぬ雲行きに襲われているというのは嘘のような真実であります。先生は相変らずだが、その子分たちが枕を高くして寝られないことがたった一つあります。それはほかでもない、洋行に出かけた鰡八大尽がいつ帰って来ないものともわかりません。帰って来れば必ず、これ見よがしのお祝いが、この隣りの御殿で行われるにきまっています。その際において、指を啣えて見物していなければならないことの残念さを思うと、子分の者が躍起になるのも無理はありません。そこで、今のうちから、それに対抗する方針を考えておかなければならないと、道庵の子分たちが、夜の目も寝ずに苦心していることの体は、よその見る目も哀れであります。

八

染井の化物屋敷はまた化物屋敷で、神尾主膳はあの時の井戸釣瓶の怪我からまだ枕が上らないで、横になりながら焦れきっています。眉間につけられた牡丹餅大の傷は癒着したけれども、その見苦しい痕跡ばかりは、拭っても、削っても取れません。