Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
お銀様の耳には、車井戸の音も、神尾の怒号も、一つになって幸内が恨みとなって響いて来るのです。
「わたしは、あの車井戸の音がいやだ、夜更けにあの音を聞くのはいやだ」
お銀様は目を閉じて幸内の面影を見まいとし、耳をふさいで車井戸の音を聞くまいとしました。けれども車井戸は一倍けたたましく軋り、神尾の怒号は、耳をふさいでいるお銀様の両手をもぎ離すほどに烈しく鳴りはためいて、
「寝ても醒めても、貴様のお喋りが癇にさわってたまらない、井戸の中から出て来い、それとも土蔵の中に隠れているのか、土蔵の中に隠れているならば、土蔵の戸を押破って、この槍で突き殺してくれよう」
散々に井戸へ当り散らした神尾主膳は、投げ捨てた槍を拾い取って、この土蔵をめがけて突進して来ました。
神尾主膳は土蔵の引戸を手荒く引っぱったけれども、それは内から錠が卸してあって、引いても押しても容易にあくものではありません。
そのたびに激昂する主膳は、ドシンドシンと戸前にぶっつかりはじめます。果ては槍の石突で戸の隙をコジにかかります。けれども尋常の雨戸と違って、いったん、内から錠を卸した以上は、兇暴な力を以てしても外から打ちこわすわけにはゆきません。