Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
また、そういう場合に限って、惨忍性を煽るには都合のよい知恵だけが働くように出来た神尾の性格を知っているだけに、お銀様の怖れが一層深くないということはありません。
この土蔵は一方口である。前に火をつけられると後ろへ逃げることができない。横にも縦にも、蹴破って走るというわけにもゆかない。二階に窓があるにはあるけれども、それは筋鉄が入って鉄の網が張ってある。逃げるのならば今のうちである。火の手のまだ揚らない先に内から戸を押開いて、そこを突破するよりほかは手段も方法も無いことです。聡明なお銀様がそこに気のつかないはずはありません。同時にまた走り出せば当然、神尾の網にひっかかることを覚悟しなければならないのを知らないはずはありません。神尾の憎んでいるのは盲法師の弁信にあるらしいけれど、さりとてこうなった時には、獲物の見さかいがあるべしとは思われない。土蔵の戸前を突破し得た時は、神尾の槍先が待っている。最後までここに踏みとどまって焼け死ぬか、それとも一刻を争うて突破を試むるか。お銀様は手早く身づくろいしました。同時に神尾の声高く笑うのが聞えます。
「アハハハハ、火水の苦しみとはこれだ、水の中へ投げ込まれて往生のしきれぬ奴が、火の中で焼け死ぬのだ、お喋り坊主、これでも出て来ないか」