Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

その時に駒井甚三郎は、ふと己れの後ろで人の足音を聞き咎めたから、橋下をのぞんでいた提灯を振向けました。つい、自分の後ろ十間とは隔たらないところに、またしても一個の人影があります。

それは船大工の寅吉ではありません。寅吉とは全く違った両国広小路方面から歩いて来たものです。それも駒井のここにいることを認めて、なるべく忍び足で近づいて来たものと見えました。

「誰じゃ」

この時は駒井甚三郎が、猶予なく言葉をかけました。

「そなたは誰じゃ」

その返事は、まだ少年の声であるらしい。

「何用あって、この夜更けに」

駒井は再び咎め立てすると、

「そなたこそ、何御用あってこの夜更けに」

少年は甚三郎に反問して来ました。

「橋の上が騒がしい故に、出て見たところであるわい」

「橋の上を騒がしたのは、貴殿ではござらぬか」

少年はジリジリと、二三歩進み寄ります。

「拙者ではない……見受けるところ、そなたはまだ少年のようじゃ、橋の上が騒がしいと知って、一人でここまで来られたか、それともつれがあって来られたか」

駒井甚三郎は提灯を高くして、その少年の姿を見ようとしたけれど、やはり充分に光が届かないのが残念です。