Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

一方の口は硝子張り、反対の口は板で張られ、中央に小さい穴があった。ところで外見からは解らなかったが、角筒の内部の一箇所に薄い板の仕切りがあり、その真中に鳥の羽根を張った、四角な穴が穿たれていた。

「唐土発明の透視光、一切人間の胎内が解る……おお九兵衛さん手をお出しな。……おっと宜しい夫れで結構。あっ、不可ねえ、障子を開けたり。お手をお日様に向けるんだ。……さて殿様ご覧なせえ。肉を透して骨が見える」

そこで宗春は顔を差し出し、一方の穴から覗いて見た。いかさま九兵衛の指の肉が、ボッと左右に薄れて見え、骨が鮮かに認められた。

「さて此度は殿様の番だ」

こういうと香具師は機械を持ち換え、宗春の胸へ硝子口を向けた。

「お心の中が解ります。善心があれば善心が見え、悪心があれば悪心が見える。もし夫れ謀叛心がある時は、その謀叛心が写って見える。好色の心は赤く見え、惨忍の心は黒く見える。これ即ち透視光の威力。どれ拝見いたしやしょう」

「無用だ!」と宗春は威丈高に叫んだ。それから侍臣を返り見た。

「これお前達は隣室へ立て!」

バラバラと侍臣達は席を立った。

と宗春は刀を取り、ブッツリ鯉口を指で切った。