Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme
二〇
やがて三人は三重へ上った。南北桁行十三間、東西梁行十一間、高さ二丈四尺あった。
四重へ上り五重へ上った。
五重が天主閣の頂上であった。
二〇
桁行七間梁六間、天井までは一丈三尺、東西南北四方の壁に、二十四の狭間が穿たれてあった。
夕陽が狭間から射し込んでいた。
南面中央の狭間から、宗春は城下を見下ろした。お濠の水は燃えていた。七軒町、長者町、商家がベッタリ並んでいた。屋根の甍が輝いていた。若宮あたりの寺々も、夕陽に燃えて明るかった。歩いている人が蟻のように見えた。
六十五万石の城下であった。広く豊かに拡がっていた。
宗春は何時迄も眺めていた。
「江戸に比べると小さなものだ」突然呻くように宗春は云った。「あわよくば将軍にも成れた俺だ。俺に執っては狭すぎる」突然宗春は哄笑した。「ワッハハハハ、六十五万石が何んだ、三家の筆頭が何うしたのだ! 貰い手があったら呉れてやろう。ふん何んの惜しいものか! それを何んぞや吉宗奴隠密を入れて窺うとは! 隠居させるならさせるがいい。秩禄没収それも可かろう。そうしたら俺は坊主になる。が決して経は読まぬ。眠剤ばかり喫んでやる」