Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

「お目に止まって恐縮千万」こうは云ったものの北村彦右衛門、内心では「締めた」と呟いた。「番士の者共の不注意でござる。併し内味が空っぽでは、つい警護も疎かになります」

「左様なこともございますまい。大納言様はご活達、随分派手なお生活を、致されるとは承わっては居るが、敬公様以来貯えられた黄金、莫大なものでございましょう」

「いやいや夫れもご先代迄で、当代になりましてからは不如意つづき、困ったものでございます」

二之御蔵、三之御蔵四、五、六の御蔵を過ぎたが、何の御蔵も用心手薄く、扉が半開きになっていたり番士が眠っていたりした。

透御門から御深井丸へ出、御旅蔵の東を抜け、不明門から本丸へ這入った。矢来門から玄関へかかり、中玄関から長廊下、行詰まった所が御殿である。

「暫くお控え下さいますよう」

山村彦右衛門は引っ込んだ。

一室に坐った大岡越前守、何やら思案に耽り乍ら、ジロジロ部屋の中を見廻わした。

御殿の中が騒がしい。歩き廻わる足音がする。何んとなく取り込んでいるらしい。

「大分狼狽しているようだ」ニンヤリ笑ったものである。「御殿の扉を開けて見せたり、番士を故意と、眠らせて見せたり、手数のかかった小刀細工、それで俺の眼を眩まそうとは、些少どうも児戯に過ぎる……いずれ御蔵内の黄金なども、何処かへ移したことだろうがさて何処