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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.739 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

わざと芯を細くしたまま、消さずに置いたランプが、意地悪くお染の横顔を照らして、その大きい庇髪の影が、白い額に落ち、柔かい鼻の線と、紅い唇が、藤波金三郎の全官能をグイグイと揺ぶります。

白粉の匂と変ってほのかな体臭、――少し不規則な寝息、それは藤波金三郎に挑むのでは無く、処女の本能的な恐怖のせいとわかって居ても、金三郎の全注意を捉えて、寸秒のやすらいも与えないのでした。

此状態は何時間か続きました。十一時を聞き、十二時を聞き、一時を聞きました。藤波金三郎はあまりの息苦しさに最後の我慢の一の雫までも費い果し、寝巻のままそっと縁側に抜け出して居りました。

幸い雨は止んだ様子です。駅の構内が遠く見えて、右往左往するランタンの光を数えて居ると、金三郎の熱し切った顔も、いくらか冷たくなったようです。三十分ばかり夜風に吹かれて、漸く常の心を取戻した金三郎は、何んか知ら英雄的な心持になって、元の自分の部屋に帰って行きました。

障子を開けて、たった一と眼、

「――――」

金三郎は見るべからざるものを見てしまったのです。心細いランプの灯でしたが、金三郎の眼には白日に照らされたような、処女の半裸体像が焼きつけられたのです。