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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.713 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

卓二は立ってヴェルモットのビンと、二つのコップを持って来たことはいうまでもありません。

「まア、少し見くびったのね」

そう言いながらも寿美子は、見事にヴェルモットの杯を重ねました。

酒量は口ほどに無く弱いらしく、二杯目からすっかり玉山崩れて、薄いブドー色のワンピースの肘が、ともすれば長イスに並んで掛けた、卓二の腕へ腰へ、膝へと触れるのです。

顔立ちは品の良い美人型で、姉の由紀子そっくりですが、由紀子よりは身体が豊満で、その百倍も魅力があり、野性的で率直な態度は、芝居気沢山のクネクネとした表情におぼれていた映画女優崩れの夢子などよりもはるかに媚惑的です。

「北海道はそんなにいやになったのかなア」

卓二は水を向けるように尋ねると、

「そんなことないわ、リラの花と楡とポプラの木の札幌は、なんといっても日本一の都会よ――東京と来たらほこり臭くて、ゴタゴタして、人間がトゲトゲして、冬になってもスキーも出来ないし、春になってもリラや千島フウロのような、可憐な花も咲かないし」

「もうよい、その点は東京のまけにしておこう、しかし東京には――」

「音楽会があって、歌舞伎があって、封切映画があって――というんでしょう、私それが皆んな大嫌いなの」