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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.161 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

国府金弥老人の財産は――動産不動産全部を挙げて、妻の鈴子に与えるというのです。子の無い金弥老人としては、たった一年の縁でも、最愛の若い妻に譲るのに何んの不思議もありません。ところがそれには重大な但し書があったのです。

但し妻鈴子は余の死後満一ヶ年間独身たるべきこと、一ヶ年以内に再婚せんとする場合は遺産の相続権を放棄せざるべからず

まことにはっきりしております。国府老人には先妻にも子が無く、兄弟も甥姪も無かったので、鈴子夫人が遺産の相続権を喪失すれば、一千万円の財産はことごとく養老院に寄附されることになっているのでした。

「そんな無法な遺言は無い、何んであろうと鈴子さんは向後の生活を保証して貰う権利がある筈だ」

躍起となって抗議したのは、鈴子夫人と一番親しくしている森川森之助でした。十目の見るところ、国府老人が死ねば、鈴子夫人は森川と再婚するだろうと友人達も信じて疑わなかったのです。その時、

「私、自分の考えを申上げてよろしいのでしょうか」

静かに口をきったのは、当の鈴子夫人でした。

「何んなりと」

佐瀬弁護士は極めて事務的に応えます。

「私、その遺産の相続を辞退し度いと思いますが」