Japanische Klassiker mit Furigana
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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
Lesen Sie 如何なる星の下に (いかなるほしのもとに) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.508 Zeichen · 236 Bildschirme
全く静かである。内も外も――。そうだ。夏場は、三時頃まで、ちょっと誇張すれば一晩中、アパートの表通りは人通りが絶えないで、私の枕もとにひびいてくるその足音のなかで、朝野光男の下駄のようなすり切れた歯をずるずる曳きずっているような音は、いやだが、いかにもなまめかしい足もとを想わせる、日和下駄の薄歯のキッキッといきに鳴っているのなどは、なかなかに快いものだった。だが今は、通りも森閑としていて、遠くから心細そうな犬の吠え声などが聞えてくる。心細そうなというのは、私の佗しい心からの感じかもしれないが、案外それは、いつか見た、小さな犬をおどかしていた憎ったらしい大きな犬が何かそこにいわれがあって、すっかり意気消沈して心細い声を挙げているのかもしれないぞと私は思ったりして、そう思うと佗しい心も慰められたりした。
耳をすましていると、これは雨雲の低く垂れた夜に時々あることなのだが、はるかかなたの上野駅のあたりから、ボーボーという汽笛の音がかすかに聞えてきた。
(旅に出たい。)
ふと痛切に感じた。だが、この旅に出たいという気持は私のうちにずっと燃えていたものだ。そうだ。