Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

Lesen Sie 如何なる星の下に (いかなるほしのもとに) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.508 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

――私はひどく、お話にならぬほど疲れていた。

ああ私はどんなに熱烈な、それこそバカみたいな想いを小柳雅子に寄せていたことか。その小柳雅子にとうとう会うことができた、その結果がこんなとは、――こんな切ない悲しみ、こんな落莫とした疲れとは、――こりゃ一体どういうのだ。折からの出盛りの映画館街の人波のなかで、私は腑抜けみたいな顔をかしげていた。このときほど私は、かねて私のひそかに愛していた、雑踏のなかの孤独、群集のなかのひとりぽっちというのを、はっきりと、しかも思わざる痛苦をもってあざやかに感じたときはない。

私の頭からは朝野の存在すら消えていた。朝野も何か黙りこくっていた。

だが突然、朝野は私に食ってかかるような、にくにくしげな調子で言った。

「小柳雅子なんて、あんなの、倉橋君、――てんで子供で、頼りなくてつまらんじゃないですか。それとも倉橋君は熟さない果実を食うのが趣味ですか」

「食う? そんな、――僕は」

朝野は私の言葉にかまわず「――小柳はあんな子供っぽい風をしているけど、案外カマトトかもしれんが……」

「カマトト?」

「あんたもなかなかカマトトの感じですな」