Japanische Klassiker mit Furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme
群集の間から、まるで花火をでも褒める様な「ワーッ」という歓声が揚がった。
読者がとっくに想像された通り、その二本の脚が、やっぱり蝋細工であった。流石に今度は笑って済ます訳には行かなかった。警察はこのご念の入った悪戯者をきびしく捜索することになった。
群集の中の一青年の主張する所によると、昼日中人形の脚を持って、煙突を昇った奴があると云うのだ。煙突の昇り口には、別に番人がついている訳ではないから、そういうことも全く不可能ではないが、何者の仕業にもせよ、余りに大胆不敵、殆ど信じ難いことである。
それよりも、見物の中のある老人が、分別らしく主張した次の説の方が、何となく本当らしく思われる。
「あの足は、今朝っから煙突の上に生えていたんですよ。それを誰も気づかなんだ。イヤ気づいても、人間の足とまで見定めるものがなかったのでしょう。こんな騒ぎになったのは、つい先頃、誰かが足だ足だと叫び出してからですよ」
つまり、それは昨夜の内に、何者かが煙突の上へ運んで置いたというのである。
だが運んだ時が夜であれ昼であれ、この出来事の不思議さには、少しも変りがなかった。一体全体何を目的に、こんな途方もないいたずらが行われたのであろう。