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Japanische Klassiker mit Furigana

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ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme

Aozora Bunko

かくして妖虫殺人事件は、意外に簡単な結末を告げた。ただ残っているのは、殿村親子の犯罪動機の穿鑿であったが、それは後日、殿村夫人が止宿していたアパートの室の手文庫の中から、厳封された一通の手記が発見され、詳細に判明したのである。

その手記というのは、殿村夫人自身が半紙五十枚程に細々と認めたもので、その内容は複雑、悲痛な人間記録であって、優に一篇の物語を為す程のものであったが、ここにはそれを詳記する必要はない。ただ要点丈けをかいつまんで記して置けば、

殿村夫人の母なる人が、世にも不幸なる醜婦であった。結婚をして殿村夫人を産んだのではあるが、醜婦の為に夫や夫の周囲の人々から虐遇され、離縁となってからも云い尽せぬ数々の不幸を味わって、遂に世を呪い人を呪い、ある夜自家の庭の木にくびれ死んだのであった。

殿村夫人はその母の呪いの中に育った。「お前は決して結婚するでない。この母がよい見せしめだ。結婚したらきっと恐ろしい事が起るのだから」と云い聞かされながら大きくなった。母の死後は親切な身寄りとてもなく、少女にして既に世の味気なさを知ったのであるが、生れついての醜貌と欠唇とが、同年輩の少年少女は勿論大人達までの嘲笑の的となって、くやしさ恥しさに幾度自殺を考えたか知れなかった。