Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
そしてそれからずっと後までも、私はそういう若い女の姿で自分の母を考えることは何か気恥しくって出来ずにいた。
そういう父や母の姿にひきかえて、おばあさんの姿は、その懐かしい顔の一つ一つの線から皺枯れた声まで、私の裡に生き生きと残っている。母が父と一しょの家に住まうようになってから、おばあさんはずっと私達のところに居きっきりではなしに、ときおりしか姿を見せなくなったから、反ってそうなのかも知れない。おばあさんはそうやって私達の家に一月位ずつ泊っていては、又いつか私の知らない裡に其処から居なくなっているのだった。――何かの拍子に、そのおばあさんの居ないことをしみじみと感じると、私はときどき彼女を無性に恋しがって泣いた。私は誰よりもおばあさんに甘えていたせいばかりではなかった。私には年とった彼女が私達の居心地のいい家にいないで、何処かよその家に行っているのが、何んだかかわいそうな気がしてならないのだった。そうやって私が彼女のために泣き、彼女を恋しがっていると、或る日またひょっくりとおばあさんは私の前に現れるのだった。
おばあさんは私の家にくると、いつも私のお守りばかりしていた。