Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
そうして附添の小間使いが二人がかりでその少女のお弁当の面倒を見ていた。私はそういう様子をちらりと目にすると、それきりそっぽを向いてしまった。
「食べんの、厭……」私はおばあさんが私の傍で小さなアルミニウムのお弁当箱をあけようとするのを邪慳に遮った。
「食べないのかい……」おばあさんは又私がいつもの我儘をお言いだなとでも云うような、困った様子で、「……ほら、お前の好きな玉子焼だよ。……ね、一口でもお食べ……」
「……」私は黙って首を振った。
他の生徒たちは私と同じような小さなアルミニウムのお弁当箱をひろげて、きゃっきゃっと言いながら食べ出していた。例の少女のところでは、二人の小間使いが代る代る立ったり腰を下ろしたりして何かと面倒を見ていた。おばあさんは私にすっかり手を焼いて、それ等の光景を上気したような顔をして見ていた。私の隣席にいた、雀斑のある、痩せた少女が私に目くばせをして、そのちぢれ毛の少女に対する彼女の反感へ私を引き込もうとしていた。が、私がそれにも知らん顔をしていたので、彼女はしまいには私にも顔をしかめて見せた。
私はとうとう強情に自分の小さなお弁当箱をひらかずにしまった。