Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
私たちは彼等を顔色から「赤鬼」「青鬼」と呼んでいた。
たしか秋の学期のはじまった最初の日だったと思う。学校の帰り途、五六人でその夏の思い出話などをしながら一しょに来ると、そのうちの一人が数日前に常泉寺の裏を抜ける、まだ誰も知らなかった抜け道をみつけたといって得意そうに話した。そこで私たちはすぐそのまま、一人の異議もなく、その抜け道を通ってみることにした。
そのころ常泉寺の裏手にあたって、小さな尼寺があった。円通庵とか云った。丁度その尼寺の筋向うに、ちょっと通り抜けられそうもない路地があったが、その中へ私たちの小案内者が、ずんずん得意そうに入って行くので、私たちもさも面白いことでもするようにその汚い路地の中へ入って行った。最初のうちは何んだかゴミゴミした汚らしい小家の台所の前などを右へ折れたり左へ折れたりしていたが、そのうち半ばこわれかかった一つの柴折戸のあるのを先頭のものがそっと押して中へはいって行った。と、いままで何か言いあっていたものたちが、そのとき急にばったりと話しやめた。不意に意外な場所に出たものと見える。やっと自分の番になって、その中へはいって見ると、私たちの目の前には、いまにも崩れそうな小さな溝を隔てて、目のあらい竹垣の向うに、まだ見たこともないような怪奇な庭が横わっていた。