Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうしました、あれは」右衛門は次客をつとめていた妻女にこうきいた、「――先日求めたあれはどうしました、道具調べをしたときにはあったのだが」

茶席であるから荒い言葉はつかえない、すべて閑寂静雅でなければならないから、静かにこう質問したわけであるが、妻女がみやびやかに答えたところによると、泰三さまがお毀しになったということであった。そのとき右衛門がもしかして立っていたら、おそらくはまた右足で畳を叩いたであろう。老人は顔面を赭土色にし、歯をくいしめたまま鄭重に云った。

「ははあ、そういうわけか」

「はい、そういうわけでございます」

右衛門は眼を剥いて妻を睨み、口を信じられない程度までねじ曲げた。それからぐっと下腹部に力をいれ、自制心を総動員して、静かな声で云った。

「ではひとつ、あの釣瓶の茶碗で、……いやよろしい、私がいって来る、自分でな」

右衛門は客に会釈をして茶室を出た。茶室は渡り廊下で母屋に続いているが、その廊下のところに泰三が立っていた。たぶん自分が過失をしたので、どんな騒動になるものか容子をうかがっていたものだろう、……右衛門はそんなことは知らないから、彼の姿を見るなり愕然とし、いや慄然のほうかもしれないがともかく非常に吃驚して、思わず知らず叫びそうになった。