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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

Lesen Sie 恐怖王 (きょうふおう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.038 Zeichen · 133 Bildschirme

Aozora Bunko

牙の様な大きな歯が真赤に染って、唇からボトボトと赤い雫がたれていた。血だ。

「そこへ来たのは、大江の野郎だな」

突然血走った目が鍵穴を睨みつけて、赤い口が怒鳴った。

「ハハハ……、馬鹿野郎! 手前はそれでも探偵のつもりか。ここは手前の敵の家だということを知らねえのか。ハハ……。ソラ、開けてやるから這入って来い。そして、このテーブルの上の品物をよく検べて見るがいい。サア入って来い」

ゴリラは嘲笑しながら、鍵穴に鍵をはめてカチカチと廻した。

一押しでドアは開いた。だが、蘭堂は直様飛び込む勇気がなかった。赤い雫のたれているゴリラの口を見ては、飛かかって行く勇気がなかった。

躊躇している間に、ゴリラはもう向側の窓枠に足をかけていた。そして、パッと彼の姿が窓の外へ消えると、空中に不気味な笑い声が残った。ゴリラは二階の窓から庭へ飛び降りたのだ。

蘭堂がその窓へ駈けつけた時には、ゴリラはもう塀を乗り越していた。

今から階段を廻って追駈けたのでは迚も間に合わぬ。と云って、猿でない蘭堂には、この高い洋館の窓から飛降りる力はない。声を立てて往来の人の応援を求めようにも、早朝といい、林の中の非常に淋しい場所なので、人通りもないのだ。