Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Lesen Sie 恐怖王 (きょうふおう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.038 Zeichen · 133 Bildschirme
「生意気な、貴様絞め殺してやるぞ」
ゴリラの毛むくじゃらな両手が、ジリジリと喉を絞めはじめた。
蘭堂はもう力が尽きてはね返す気力はなかった。絞めつけられた彼の紅顔は、見る見る紫色にふくれ上って行った。
「ヒヒヒ……、青二才め、どうだ苦しいか。もう少しの我慢だ。今に気が遠くなって、極楽往生だぜ。云い残すことはないかね。ヒヒヒヒヒヒヒ、云い残そうにも口が利けまい」
けだものは、残酷にも、ゆるめては絞め、ゆるめては絞め、しかも徐々に両手の力を加えて行った。
と、その時突然、ビシーンという銃声が聞えたかと思うと、部屋の窓ガラスがガラガラと砕け落た。
「サアお放し、その手をお放し、でないと、今度はお前の背中だよ」
組合った二人のうしろに、いつの間にか小型のピストルを手にした夏子未亡人が、精一杯の力で、歯を食いしばって突立っていた。ピストル持つ手がワナワナと震えている。
流石の猛獣も飛道具には敵わぬ。ゴリラは不承不精に手を放して立上ると、ジリジリとドアの方へあとじさりを始めた。
「大江先生、しっかりして下さいまし。大丈夫ですか」
夏子はピストルを構えたまま、倒れた蘭堂の上にかがみ込んで叫んだ。