Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Lesen Sie 恐怖王 (きょうふおう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.038 Zeichen · 133 Bildschirme
明日は嬉しいご婚礼ですからね」
ロイド眼鏡は死骸に話しかけながら、部屋の隅の大トランクの中から、化粧道具を持出して来た。縁側には水を入れた金盥が置いてある。顔料を溶かす特殊の油も用意されている。さて、これから、役者がする様に、死人の顔のこしらえを始めようという訳だ。
横に寝かせたまま、先ず水でよく顔を洗って、下地にはクリーム、それから濃い煉白粉、頬紅、口紅、粉白粉、まゆずみと、男のくせにお化粧は手に入ったものだ。
だが、それ丈けでは駄目だ。いくら色艶がよくなったとて、顔の相好が生きては来ない。死人か、でなければ生命のない人形だ。
第一目が死んでいる。閉じた目を指で開いて、暫くじっと押さえていると、そのまま開きはしたけれど、どうも生きた人間の目ではない。
そこで彼は絵筆を取って、適度の目隈を入れ、眼尻には紅をさし、乾いた眼球そのものをさえ、油絵具で彩った。
次は口だ。口紅ばかりいくら赤くしても、口辺の筋肉が力なくだれてしまって生気がない。そこで、唇の両端を指でギュッと上に押し上げたまま、二十分程も、じっと辛抱していると、已に強直の起り始めた筋肉は、そのまま形を変えて、如何にも嬉しげな笑いの表情となった。