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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

Lesen Sie 恐怖王 (きょうふおう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.038 Zeichen · 133 Bildschirme

Aozora Bunko

蘭堂は、そうしていても果しがないと思ったのか、生腕の上にかがみ込んで、気味悪いのを我慢しながら、二本の指でそれをつまみ上げた。

電燈にかざしてよく見ると、確に女の、しかもまだ若い女の腕だ。

「マア、可哀相に、誰かが殺されたのでしょうね」

夏子が声をかけても、蘭堂は生腕の指先を見つめたまま、身動きもしなかった。

やがて、徐々に徐々に、彼の顔色が変って行った。両眼は飛出す程見開かれ、口はポッカリ開いて、呼吸が烈しくなって行った。

「アラ、どうなさいましたの? 先生、先生」

夏子は相手のただならぬ様子に、我が裸身を忘れて、近々と蘭堂に寄り添いながら叫んだ。

「僕はこの指に見覚えがあるのです」

「エ、なんでございますって?」

「アア、恐ろしい。僕はこの腕の持主を知っているのです。思違いであってくれればいい。だが、よもや……」

蘭堂は云いさして、フラフラと倒れ相になった。

アア、彼程の男を、かくも悩乱せしめた、この生腕の主とは、抑々何人であったか。そして又、彼の恐ろしい推察は、果して適中していたのであろうか。

令嬢消失

大江蘭堂は、その生腕の小指にある、小さな傷痕に見覚えがあったのだ。