Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
。その糸屑を拾うときに殆んど突然に玄関先に脱ぎすててある紅い緒の立った雪駄をほしいような気がしたのは、自分ながら意外であった。何ということなしに、その雪駄の上にそっと自分の足をのせて見たら面白いだろうという心持と、そこに足をのせれば、まるで彼女の全身の温味を感じられるように思われたからである。私は子供のときから姉の雪駄をはいてはよく叱られたものであるが、それよりも、もっと強い烈しい秘密な擽ぐったいような快さが、きっと私が雪駄に足をふれさせた瞬間から、私の全身を伝ってくるにちがいない。ちょうど、踵からだんだん膝や胸をのぼってきて、これまで覚えたこともない美しいうっとりした心になるにちがいないと、私は雪駄をじっと怨めしく眺めたのであった。それは誰でも男は女の下駄を思わず引っかけて見たい一種の好奇心があるように、私の場合では、籐表のところで思うさま手を擦って見たいような、も一つはその雪駄を緒は緒、表は表、裏は裏という順序にばらばらに壊して見たいような惨忍に近い気持が、また、ふいに顔を出して来たりした。
も一つ心の奥からの悪戯の萌しかけたのは、ともかく私がこの庭まで忍び込んだという証拠として、また、その事実を彼女に何かしら知らしめたいということから、彼女の雪駄を片足だけ(私はこの場合両方が決して欲しくなかった。