Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
「いや、まったく。生来が眇目の質。御無礼の罪は、どのようにもお詫びいたしますゆえ、一命だけは」
「ぬけぬけと、やかましい。こう圧え付けるこの方に対しても、そちの手脚のもがきには、どこか侍の手心がある。――こやつ! この面構えを見てもそうじゃ。敵国の諜者にちがいない。何処から来た」
「め、滅相もない」
「いわぬかッ」
「くッ……か……」
「いえッ」
「く、くるしい」
「――美濃か。甲府か。三河か。伊勢か。いずれの隠密だ。口を割らねば、割るようにして訊くぞ」
信長は、踊りの仮装のまま、そこから少し離れて佇んでいた。藤吉郎に制されて遠く退いた領民たちは、まさかその人が信長とは思わなかったが、よしあるお方の微行とは察している様子だった。
「猿……」
小声で、信長は、麾いていた。はッと、寄って行くと、着ている被衣を彼の顔へよせて、何やら囁いていた。
藤吉郎は、黙礼して、
「では」
と、直ぐ、勝三郎の側へ足を移して来た。
勝三郎は、太刀の緒を解いて、山伏を後ろ手に縛し上げようとしていたが、そこへ藤吉郎が来て、
「待て、於勝殿。殿のおことばじゃ」
と、いうことには。――折角、こよいは年に一度の祭、和楽を謳歌しているところ。