Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
風の中の城
十兵衛どの。亡父の霊へよい手向をしました」
「うム。わすれまい。――お互いに!」
ふたりは誓った。
大日越の難所をこえ、ようやく他郷へはいった二人は、しばらく越前の穴馬在に潜んでいたが、美濃の乱も四隣の形勢も、ほぼ見通しがついたので、やがて越前の敦賀へ出、舟で北郡の三国の津へ上陸った。
三国の津の長崎称念寺には、かねて知合の園阿上人がいた。その人を頼って行ったのである。
それから幾年かの間。
寺の門前町に、一軒借りて、二人は寺小屋などしていた。けれど光秀が手習子に教えている時は、光春が旅に出、光春がいる時は、光秀が旅に出て留守だった。
旅は勿論、風雲の下の旅だった。自分を磨きながら、あわせて、諸国の軍備や文化を視察して歩く――それを、武者修行と、時の人々はいった。
風の中の城
信長は、戦わなかった。
機を見るに敏な彼が、なぜ木曾川まで進軍したのに、引き揚げてしまったか。
国境木曾川のすぐ向うには、内乱の火が幾日もいぶっていた。攻め入るには絶好な機会だった。山城守道三の密使が、好条件の誘いをも齎して来ていたのである。
が、彼は川を越えなかった。
「いつもの殿にも似げないこと」