Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
大きな月
「天命ッ」
と、叫びながら、彼はそこで自刃したということである。しかし、天命とわめいたのはおかしい。彼の末路は、彼自身の作った人命である。
信長は、一日で、鳴海と笠寺とを平定した。
清洲の城壁の御普請をやって間もなく、何処へ行ったか、久しく姿を見せなかった藤吉郎も、鳴海、笠寺の二城が尾張のものになると、いつの間にか、帰っていた。
「貴公じゃないのか。両方へ流言を放って、反間をやりに行ったのは」
問うものがあっても、彼は、
「おら知らん」
けろりと、首を横に、振るだけであった。
大きな月
戦が日常だった。日常の生活が戦だった。
毎年。どんな年でも。
お濠の柳や梅に、鶯が啼いている日でも、国境のどこかしらには戦があったのである。
青田をふく風の中に、平和な田植歌のながれている日でも、国主の兵は四隣の敵を防ぎつつ、日に幾十人となく戦死していたのである。
――が、清洲の城下は、一見どこに戦争があるかのように見えた。
百姓も町人も工匠も、流浪の心配なく自分の職業に精出していた。軍費といえば挙って税を出した。国主からいわれない先に、彼らは、日常の物を節して、お要用の時に備えていた。